こんな時どうする?

こんな時どうする?

こんな時どうする?

【第25回】

  • 相続

    遺留分遺留分侵害額請求権遺言

    亡くなった母が、兄にすべての財産を相続させるという遺言を残していました。私は遺産をもらえないのでしょうか?


Q 先日、母が亡くなりました。私には兄が1人いますが、母は、兄にすべての財産を相続させるという遺言を残していました。この場合、私は遺産をもらえないのでしょうか?母の遺産は、十年前に父から相続した自宅(土地建物)だけです。

遺言は、自分が死んだ後、自分の財産をどのように処分するかについて、生前に決めておくものです。ですから、遺言がある以上、お母さんの財産(自宅)は、それに従って、いったんはお兄さんがその全部を取得することになります。
しかし、民法は、遺言によっても相続人から奪うことのできない最低限度の相続分を定めており、法律上、これを遺留分といいます。

遺留分は、直系尊属(両親や祖父母など)のみが相続人である場合には、相続財産の3分の1、それ以外(配偶者や子どもなど)の場合には、相続財産の2分の1と定められています(ただし、兄弟姉妹が相続人である場合には、遺留分は認められていません。)。ですから、あなたには、お母さんの財産について、法定相続分(2分の1)×2分の1=4分の1の割合の遺留分があることになります。

お母さんの遺言は、すべての財産をお兄さんに相続させるという内容ですから、あなたの遺留分を侵害していることになります。そこで、あなたはお兄さんに対し、遺留分として一定の金銭の支払を請求することができます。これを遺留分侵害額請求権といいます。

遺留分侵害額請求権に基づき、あなたはお兄さんに対し、お兄さんが相続した自宅の価格の4分の1に相当する金銭の支払いを請求することができます。もっとも、お母さんから生前に、あなた自身が多額の贈与を受けていたりとか、反対に、お兄さんが多額の贈与を受けていたりすると、その金額が増減することもあります。また、遺留分侵害額を請求されたお兄さんは、裁判所であなたに対する遺留分侵害額の支払期限を許与してもらうことができます。

遺留分侵害額請求権は、法律上、一定期間内に行使しなければ消滅するとされています。ですから、今回のような遺言の存在を知ったときは、早期に弁護士に相談することをお勧めします。

漫画1
漫画2

栄総合法律事務所

埼玉県さいたま市浦和区岸町7-12-4
ニチモビル浦和3F
TEL 048-839-7341(代)

【受付時間】
月曜日~金曜日 9:00~19:00
(年末・年始、及び祝日・振替休日・国民の休日を除く)