こんな時どうする?

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【第24回】

  • 相続

    不在者(行方不明者)失踪宣告

    父が行方不明になって10年が経ちました。父名義の不動産を売却したいと考えています。


Q 私の父は、10年前の今日(令和4年7月4日)、家を出たまま帰らず、音信も不通で、現在、生きているかどうかも分かりません。父名義の土地建物には、母が1人で住んでいましたが、昨年母も亡くなり、今は誰も住んでいません。これを売却したいと考えていますが、どうしたらよいでしょうか?ちなみに、私には兄弟姉妹がいません。

お父さん名義の土地建物である限り、お父さんがいなければ売却することはできません。
しかし、10年間、お父さんの行方が分からないということですので、失踪宣告の制度により、お父さんについて相続を開始させ、あなたの名義に変えることができます。

Q 失踪宣告というのは、どのような制度ですか?

民法30条は、1項で、「不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。」(これを「普通失踪」といいます。)と定め、2項で、「戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈んだ後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。」(これを「危難失踪」といいます。)と定めています。そして、民法31条は、「前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。」と定めています。「不在者」とは、「従来の住所又は居所を去った者」をいいます(民法25条)。

お父さんは、10年前の今日、家出して、現在もその生死が分からないということですので、お父さんの失踪宣告を請求することができます。失踪宣告を請求することができる「利害関係人」とは、お父さんの失踪宣告について、法律上、利害関係を有する者のことをいいます。あなたはお父さんの相続人ですから、「利害関係人」として、家庭裁判所に対し、お父さんの失踪宣告を請求することができます。

Q 家庭裁判所が失踪の宣告をすると、どうなるのですか?

家庭裁判所がお父さんについて失踪の宣告をしたときは、令和4年7月4日から7年を経過した令和11年7月4日の時点で死亡したものとみなされ、お父さんについての相続が開始し、その旨が戸籍に記載されます。そうすることで、お父さん名義の土地建物はあなたの名義に変更でき、あなたがこれを売却することも可能になります。
ちなみに、危難失踪とは、大震災やその後の津波により、行方不明になったような事例で利用されます。

漫画1
漫画2

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