こんな時どうする?

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【第28回】

  • 家事

    任意後見認知症(アルツハイマー病)

    高齢の母が私に財産の管理を任せたいと言っています。


Q 私の母は、今度の誕生日で80歳になります。母は、アルツハイマー病と診断されていますが、今のところ判断能力には特に問題がなく、自分で財産を管理しています。ですが、母は、将来自分で財産が管理できなくなったときのことを心配しており、できれば、同居している私に財産の管理を任せたいと言っています。どうしたらよいでしょうか?

あなたとお母さんとの間で、任意後見受任者(任意後見人になる予定の者)をあなたとする任意後見契約を締結すれば、将来、お母さんの判断能力が不十分になったとき、あなたが任意後見人として、お母さんの財産を管理することができます。

Q 任意後見とは、何ですか?

任意後見とは、現在、十分な判断能力を持っている人が、将来、判断能力を失ったりしたときに備えて、将来の財産管理等の後見事務の内容と後見事務を処理する人を定めておく制度です。

Q 任意後見人の職務内容を教えて下さい。

大きく2つに分けると、本人の生活、療養看護と財産の管理ということになります(任意後見契約に関する法律第2条1号)。

Q 本人の療養看護事務は、必ず任意後見人が遂行しなければならないのですか?

任意後見人と本人が同居しているときは、任意後見人が、他の家族の力を借りながら、本人の療養看護事務を遂行することになりますが、本人が施設に入所しているときは、日常的な事務は施設に任せ、任意後見人は、定期的に本人の様子を見に行くことになります。

Q 任意後見契約は、どのように締結するのですか?

任意後見契約に関する法律第3条で、「任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。」と定められていますので、あなたとお母さんが公証センターに行くか、自宅まで公証人に来てもらうことになります。また、任意後見契約が締結されると、公証人が登記所に対し、任意後見契約の登記を嘱託します。この嘱託に基づき、任意後見契約が登記されます。

Q 任意後見契約を締結すると、すぐに私は任意後見人になって、母の財産を管理しなければならないのですか?

いいえ。任意後見契約の効力が発生して、あなたが任意後見人になるのは、任意後見監督人が選任された時からです(同法律第2条1号)。

Q 任意後見監督人は、どのようにして選任されるのですか?

本人、配偶者、四親等以内の親族又は任意後見受任者(任意後見人になる予定の者)の請求により、本人の住所地の家庭裁判所が選任します(同法律第4条)。通常、任意後見監督人として選任されるのは、弁護士などの法律の専門家です。

Q 任意後見監督人の職務は何ですか?

任意後見監督人の職務は、任意後見人の事務を監督したり、任意後見人の事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告したりすることです(同法律第7条1項)。

Q 任意後見契約を締結する前に、母の判断能力が不十分になってしまったときは、どうしたらよいですか?

その場合には、もう、任意後見契約を締結できませんので、家庭裁判所に対し、お母さんについて、成年後見人の選任を申し立てることになります。これを受けて、家庭裁判所が成年後見人を選任することになります。

以上は、あくまでも任意後見契約の概略ですので、実際に、任意後見契約を締結しようとするときは、弁護士にご相談下さい。

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