こんな時どうする?

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【第10回】

  • 不動産

    共有共有物分割

    私と兄が共有している建物に兄家族が住んでいます。私は兄に対し、建物の明渡を請求できますか?


Q 私と兄は、父から土地建物を相続しました。遺産分割協議の結果、現在、この土地建物は、私と兄が持分2分の1ずつの割合で共有しています。建物には、兄とその家族が住んでおり、私はマンションを借りて住んでいます。私は、兄に対し、建物の明渡を請求できますか。

民法249条は、「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。」と定めています。これは、例えば、土地の共有者の1人は、その持分が2分の1であっても、その土地全体を利用できるという意味です。
また、最高裁判所昭和41年5月19日判決は、「他の共有者との協議に基づかないで、自己の持分に基づいて現に共有物を占有する共有者に対して、他の共有者は当然には共有物の明渡を請求することはできない。」と判示しています。

したがって、あなたはお兄さんに対し、建物の明渡を請求できません

Q 私は、この土地建物の持分2分の1を売却し、そのお金で家を買いたいと考えていますが、どうしたらよいですか。

全くの第三者が、持分2分の1だけを買ってくれるということは、まず考えられません。お兄さんに買い取ってもらうというのが、最も現実的でしょう。

Q 私は、兄に私の持分2分の1を買い取ってほしいと言いましたが、兄から、「別に買い取らなくても、土地建物の全部を使えるんだから、買う必要はない。どうしてもというなら、安く買ってやる。」と言われてしまいました。どうしたらよいでしょうか。

この場合、あなたはお兄さんに対し、共有物の分割を請求することができます。

Q 共有物の分割とは、何ですか。

民法256条1項は、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。」と定めています。協議による方法と裁判による方法があり、協議が調わないときは、裁判で分割を求めることができます(民法258条)。

Q どのように共有物を分割するのですか。

1 土地であれば、持分の割合に応じた面積に分筆して、それぞれが取得する(現物分割)
2 共有者が、共同で共有物を売却し、それぞれの持分の割合に応じて、代金を取得する
3 共有者の一人が、他の共有者に対し、他の共有者の持分に相当する共有物の価額を弁償して、他の共有者から、その持分を取得する
などです(民法258条2項)。

Q 現物を分割できないとき、又は、分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、どうなるのですか。

そういったケースでは、裁判所は、共有物の競売を命ずることができます(民法258条3項)。

財産の共有持分を持っていても、全く使用できないのであれば、宝の持ち腐れのようなものです。そういうときは、弁護士に相談して下さい。

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