こんな時どうする?

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【第17回】

  • 刑事

    不法行為責任傷害罪

    無理やりお酒を飲ませたら傷害罪?


Q 無理やりお酒を飲ませたら傷害罪になるでしょうか?

まず最初に、「傷害とは何か。」を考えましょう。


気分良く酔っ払っている状態が傷害ではないことは明らかです。二日酔いになる程度の飲み方も傷害とは言えないでしょう。
傷害とは「身体の生理的機能に障害を生ぜしめること。」と考えられていますので、急性アルコール中毒の状態になれば、傷害と言えるでしょう。


では、一気飲みをさせて急性アルコール中毒になれば、傷害罪になるのでしょうか。


これは、無理やり飲ませたと言えるかどうかが問題となります。飲めるけど遠慮している人に勧める場合などは、無理やりとは言えません。本気で嫌がっているのに、その意思に反して、一気飲みをさせれば、傷害罪になります。
極端な例で、押さえつけてお酒を飲ませるとか、飲まないと殴るなどと言って飲ませた場合は傷害罪と言えるでしょう。その場合でも、飲ませる側に、相手を急性アルコール中毒にさせる、あるいは急性アルコール中毒になっても良いという気持ちがなければなりません。つまり、傷害罪になるには、相手を具合悪くしてやろうという気持ちが必要です。


ところで、傷害罪にならなくても、お酒を無理強いして急性アルコール中毒にさせた場合には、民法上の不法行為責任を負う場合があります。例えば、すでに気分が悪くなっている人にさらに飲ませるとか、ふらふらで立てなくなっている人にさらに飲ませるなど、周りから見ていてやりすぎだと思われるような場合には、条理上の注意義務違反となり、損害賠償の対象となる場合があります。


お酒の席でのトラブルを防ぐためには、飲み過ぎ、飲ませすぎに注意しましょう。

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