こんな時どうする?

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【第22回】

  • 不動産

    借地上の建物の売却地主の承諾

    借地上の自宅を売却したいのですが、地主が承諾してくれません。


Q 私の自宅の敷地は借地です。子供たちが大きくなり、手狭になってきたため、今般、新たに自宅土地建物を購入しようと考えています。これに伴い、今の自宅を売りたいと考えているのですが、その旨を地主に伝えたところ、承諾できないと言われました。どうしたらよいでしょうか?

今の自宅を売るということは、建物とともに借地権も売ることになります。借地権を売るには、地主の承諾が必要になります(民法612条1項)。地主から承諾をもらわないで借地権を売ると、地主は、原則として、借地契約を解除することができ、あなたから借地権を買い受けた人に対し、借地の返還を求めることができます。

Q 地主が承諾してくれない限り、私は第三者に借地権を売ることができないのですか?

借地借家法19条で、「裁判所は、その第三者が借地権を取得しても、地主に不利となるおそれがないにもかかわらず、地主が承諾しないときは、借地権者の申立により、地主の承諾に代わる許可を与えることができる」と定められています。

あなたは、この手続を利用して、裁判所から地主の承諾に代わる許可を得れば、第三者に借地権を売ることができます。

Q 通常、借地権を売るときは、地主に承諾料を支払うと聞きましたが、この手続で、裁判所が地主の承諾に代わる許可を与えてくれたときは、地主に承諾料を支払わなくて済むのですか?

いいえ。通常、裁判所は地主の承諾に代わる許可を与えるに当たり、借地権者が地主に対し、借地権価格の10%程度の金銭を支払うことを条件にします。

Q 裁判所から地主の承諾に代わる許可を得れば、借地人の売りたい相手に売れるのですか?

いいえ、そうとは限りません。地主は、借地人からこのような手続を申し立てられたときは、その手続の中で、自分で借地権を買い取る旨を申し立てることができます。地主が自分で借地権を買い取る旨を申し立てたときは、借地人は、原則として、地主に売らなければなりません。

Q 地主が借地権を買うといっても、いくらで売買するのですか?

まずは、あなたと地主が、いくらで借地権を売買するかを協議することになりますが、協議が調わないときは、借地権の価格について、鑑定を実施することになります。一般的には、鑑定で算定された借地権の価格から、承諾料(10%程度)を控除した金額で売買することになります。

Q 鑑定の費用はいくらぐらいになりますか?

この手続で実施する鑑定は、国庫負担とされています。

Q 地主が借地権の存在を否定している場合でも、この手続を利用できますか?

この手続は、借地権の存在が争われていないことを前提にしています。もし、地主と借地人との間で、借地権の存在自体が争われているのであれば、借地人が地主に対し、借地権の存在の確認を求める訴えを提起して、「借地権が存在することを確認する」旨の判決を得てから、この手続を申し立てることになります。

借地関係で紛争になっている方は、早期に弁護士に相談されることをお勧めします。

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