こんな時どうする?

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【第13回】

  • 消費者

    クーリング・オフ業務提供誘引販売取引特定商取引法

    仕事をするために購入させられた勉強教材を分割で払っていたら、その会社は潰れてしまいました。今後の支払いは拒否できますか?


Q 先日、新聞に折り込まれていた求人広告の中に「在宅ワーク」が掲載されていました。仕事の内容は「案内状等の簡単な資料やホームページの作成」でした。私は前から内職をしたいと考えていたので、すぐにその広告の募集主B社に電話をかけました。そうしたら、電話受付の人が「仕事はたくさんあります。ただ、教材を買ってもらって、それで勉強してもらい、うちの基準を満たしてからでないと仕事を提供できません」と言うのです。その教材の代金が50万円もするので、私が躊躇していたら、その電話受付の人が「確かに、最初に教材の代金がかかりますが、仕事を進めていけば、1年ぐらいで元がとれます。皆さん、教材の代金なんてすぐに払い終わってどんどん稼いでいます。仕事はたくさんあるんですから」などと言われました。私は話に乗せられて、50万円を5年間で分割払いすることにして、教材を買ってしまいました。それから、その教材を使って少しずつ勉強していたのですが、ある日、募集主B社から連絡があって、「皆さんに提供する仕事がなかなか手に入らなくて、B社は消滅することになりました。」と突然言われました。これでは高いお金払って教材を買った意味がないので、教材のクレジット代金を、以後払いたくありません。どうしたら良いでしょうか?

ご相談のケースは、特定商取引に関する法律で定められている「業務提供誘引販売取引」に当たると考えられます。業務提供誘引販売取引に当たる場合、業務提供誘引販売業者は、契約者が「提供される業務を事務所等によらないで行う個人」である場合には契約締結前に取引の概要を記載した「概要書面」を、契約を締結した場合には契約内容を記載した「契約書面」を、それぞれ交付する業務を負うとされています。業務提供誘引販売業者がそうした契約書面を交付していない場合、契約者は、その契約をクーリング・オフできることができます。

Q 「概要書面」とか「契約書面」には、どういうことが書かれていなければならないですか?

業務提供誘引販売業者の氏名、住所、電話番号や契約年月日、契約締結の担当者氏名などを書く必要があるとされています。

Q そういえば、私が買わされた教材の契約書には、内職をくれるというB社の電話番号や担当者の名前などは書いていなかったです。

そうだとすれば、B社はあなたに対して交付すべき契約書面を交付していないことになります。

Q 契約書面を交付していないとどうなりますか?

あなたは、教材を買わされた契約をクーリング・オフできることができます。

Q クーリング・オフすると、契約の効力がなくなるということですよね?

そうです。だから、以後、あなたは、教材の代金を払わなくて済むようになります。

Q でも、クーリング・オフには期間の制限があるのではないでしょうか?

業務提供誘引販売取引のクーリング・オフの場合、20日間の制限があります。ただし、業務提供誘引販売業者があなたのような個人に「契約書面」を交付してから20日間です。ですから、業者が「契約書面」を交付していない以上、20日間という制限の1日目が始まらないことになります。

Q 教材を買わされた時からは20日以上たっているけれど、「契約書面」を交付されていないので、まだ20日間が全然経過していないことになるのですね。

そうです。クーリング・オフをする場合、そういう意思を表示をしたことを明確にしておくために、内容証明郵便にしておいた方がよいでしょう。また、クーリング・オフすると、あなたは、代金を支払わなくて済むようになるほかに、教材をB社側に返されなければならなくなりますが、その返還にかかる費用はB社が負担すべきとされています。ですから、あなたとしては、教材を着払いで送ればいいということになります。

その他にもいろいろな問題がありますから、「悪い業者に引っかかっちゃったのかな」と思ったら、すぐに弁護士に相談することをお勧めします。

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